松田翔太さん出演で話題になっている月9「海の上の診療所」。このドラマに出てくる診療船のモデルになったのが、瀬戸内海に面した岡山県、広島県、香川県、愛媛県の中の65にもわたる島々を50年以上守り続けてきた“済生丸”です。

日本で唯一の診療船は、限界集落(人口の50%以上が65歳以上)を中心とした過疎化の進む地域に赴くため、若い人がいない僻地ではとても重宝されているのだとか。
65ヶ所という場所を回るので、大体3ヶ月おきで同所に赴くという診療船。そのため毎回の診療には1日で約100人以上が殺到する為、慣れるまではとてもてんてこ舞いになってしまうといいます。
それもそのはず、なぜなら診療は原則無料なのです。細々と年金生活を送る高齢者にはまさに助かる診療形態ですよね。
診療は主に検査目的で治療は原則しないとの事ですが、最近は船内に携帯している薬品などの種類も増えており、縫合や簡単な処方ならば可能なのだとか。また、重症に関しては見つかれば患者に知らせ、本州などにある病院での治療を勧めるといいます。
医師がいるとはいえ、看護師は普通の診療所同様の処置ができません。その為、様々な症状に対する判断力や、患者一人一人に対応出来る柔軟なコミュニケーション能力が必要となるといえるでしょう。
さて、この船に乗る医師や看護師になりたい!と思った方もきっと多いはず。残念ながら船に直接行ってなれるものではないのですが、この“済生丸”を管理している各地域の済生会病院に就職する事でそのチャンスは巡ってくるといいます。

また、この船は日常的な診療のほかにも、阪神淡路大震災のような被災地の応援に赴く事もあったのだとか。被災地というと渋滞や土砂災害、地割れなどによって陸地の診療が遅れます。そんな時、海から港を伝って診療や救済活動を行う事ができるというのは、とてもありがたい存在だといえるでしょう。
この診療船は、残念ながら日本ではまだ全国化されていませんが、海外では中国やブラジルなどの僻地に赴く大型の“病院船”というのはあるといいます。
しかし、燃料費や人件費といった費用面から、海外では軍隊単位などで行われている業務。そういう意味でも日本ではまだ少し全国実用化は難しいかもしれませんが、被災地救済活動などの活躍やドラマの影響から、その活動範囲や必要性が広がるかもしれませんね。
実用化されれば救急車による陸地から、ドクターヘリによる空から、診療船による海からと、まるでロボットアニメのように様々な場所から助けが来てくれるかも。
いち早い診療船全国実用化を楽しみに、あなたもぜひ頑張ってみてくださいね。